■Event Report

個人投資家のための「秋のJリートフェア2012」
大盛況のうちに閉幕

 

10月27日、東京証券取引所において「個人投資家のための秋のJリートフェア2012」が開催されました。一般社団法人不動産証券化協会(ARES)と東京証券取引所の共催によるもので、秋の開催は2年ぶり。当日は普段、人通りの少ない兜町界隈も同フェアへの参加者で賑わいました。

午前9時。土曜日の兜町は、ほとんど人がいないのが普通ですが、この日は大勢の個人投資家が、兜町に集まりました。特別セミナーでは、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授の川口有一郎氏と、SMBC日興証券株式調査部シニアアナリストの鳥井裕史氏が登壇しましたが、メイン会場の他、モニターを配置した複数会場でも立ち見が出るほどの盛況ぶりとなりました。

また、特別セミナーの間には、複数の会場において各REIT会社がプレゼンテーションを行いましたが、これも立ち見が続出。株式市場の低迷が続くなかではありますが、改めてJリートに対する個人投資家の関心の高さがうかがえました。


東証REIT指数は1100ポイントを伺う展開に〜上手なREITの選び方


早稲田大学大学院ファイナンス
研究科教授川口有一郎氏

朝9時半からの特別セミナーで登壇したのは、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授の川口有一郎氏。J-REITは株式市場で売買されるため、株式市場の今後をどう見るかがポイントと説明。さらに現在のJ-REITを取り巻く環境を整理したうえで、J-REITの選び方について解説しました。

「東証REIT指数は、2010年12月に直近高値の1130ポイントを付けた後、欧州債務問題の影響を受けて下落。2011年中を通じて下げ続け、同年12月には826ポイントまで値下がりしました。

ところがその後は再び上昇トレンドに入り、2012年10月末時点で1052ポイントまで上昇してきました。この間の上昇率は27%。通常、株価上昇は配当利回りの低下を意味しますが、現状でも、J-REITの配当利回りは平均値で5%以上。インカム狙いの投資でも、充分な魅力を持っています。」

 

投資環境の注目点としては、

  1. リーマンショック以降、先進国を中心にしてマネーサプライが急増。安全への逃避から国債に資金が回り、長期金利が大幅に低下。日本では株式市場と為替に強い関係があり、円高が進むと日経平均株価は上がりにくくなる。
  2. 為替は日米金利差で決まる。米国では来年1月以降、新年度の国債発行枠が固まり、新たな国債発行によって金利が上昇する可能性あり。米国の金利上昇は円安を促す。
  3. 国内の不動産賃貸市場では、東京のオフィス需要が2012年以降急増。不動産賃貸市場の需給関係は改善傾向にある。
  4. 日本銀行によるJ-REITの買い上げ額が上方修正される可能性あり。 という点を挙げたうえで、J-REITの魅力、投資する際のポイントについて説明しました。

という点を挙げたうえで、J-REITの魅力、投資する際のポイントについて説明しました。

 J-REITに投資する際のポイントとしては、

  1. 株式市場の見方が基本
  2. 不動産サイクルの見通しが重要
  3. J-REITの見方・買い方として「分配金の安定性と成長性に着目」、「イールドギャップ3%以上なら買い」
  4. グローバルREITの見方・買い方として「分配原資の健全性と継続性」、「為替リスク」

という点を挙げました。


モニターを配置した複数会場。
立ち見で視聴する個人投資家も多くみられた

現在、東証に上場されているJ-REITの本数は35本。平均の単価は38万6,314円で、平均2万円の分配金が出ています。分配金の利回りは銘柄によって異なり、3.7%〜16%。平均値は5.7%。長期的に保有すれば、安定した分配金収入によって、当初投資した元本部分の回収も可能になります。国債利回りとのギャップも3%を超えており、投資対象としての妙味も、徐々に高まってきているというのが、川口氏の見方です。

 

長期で保有すれば累積リターンが積み上がる


SMBC日興証券株式調査部
シニアアナリスト鳥井裕史氏

一方、特別セミナー2人目の登壇者は、SMBC日興証券株式調査部シニアアナリストの鳥井裕史氏で、より具体的に、現在のマーケット環境について、分析していただきました。

J-REIT市場上昇の背景と国内株式市場との比較について「資金調達の環境がしっかりしていること、物件を取得することによる外部成長が期待できること、さらに7月以降、オフィスの空室率が低下したことなどを受けて、東証REIT指数は上昇。複数のJ-REITを組み入れて運用されているJ-REIT特化型投資信託の人気が高まり、そこを通じての資金流入が活発であることも、株価上昇に奏功しました。今後のポイントとしては、投資信託法改正によって、自己投資口取得が解禁されること、さらに日銀によるJ-REITの買い取り額が拡大されることなどが、支援材料になります。」「J-REITのパフォーマンスは、配当込で見ると国内株式を大きくアウトパフォームしています。2001年9月から20121年9月までの数字を見ると、TOPIXが約20%のマイナスであるのに対し、東証REIT指数は約80%のプラスになりました」と説明されました。

もちろん、東証REIT指数自体はそれほど目立った上昇ではありませんが、やはり配当金が有利ということもあり、それを含めたリターンになると、非常に有利になります。この点でも、J-REITは長期で保有するべきものという見方が出来ます。

さらに今後の見通しについて「目先の目標は、東証REIT指数で1100ポイント。欧州債務危機などが再燃してクレジットリスクが高まるという状況にならなければ、1200〜1300ポイントも想定されます。今は、J-REITに投資するうえで、良い機会が到来していると考えられます」と述べられました。

個人投資家の間では毎月分配型ファンドが人気を集めていますが、J-REITのように、円ベースで確実に5%前後の配当利回りが得られる金融商品は、現状、ほとんど見られません。その点でも、長期保有型の投資対象として、J-REITへの関心が高まっていきそうです。

 

 

関連リンク

東証REITページ
http://www.jpx.co.jp/equities/products/reits/outline/index.html

取材・執筆:QUICK MoneyLife (掲載日:2012年11月8日)