専門家インタビュー

■第22回
SMBC日興証券のシニアアナリスト、鳥井裕史氏に聞く
ホテル特化型REITの特徴と投資のポイント

「不安定な分配金を補うキャピタルゲインに期待」

現在、東京証券取引所のJ-REIT市場には2本のホテル特化型REITが上場されています。「ジャパン・ホテル・リート投資法人」と「星野リゾート・リート投資法人」がそれです。


SMBC日興証券株式調査部
シニアアナリスト鳥井裕史氏

それぞれ組み入れている物件は異なりますが、基本的にホテル特化型REITというのは、ホテルや旅館に投資します。そして、分配金の原資は、これら宿泊施設の宿泊料になるため、客足が分配金に影響を及ぼします。したがって、その収益性は景気動向に大きく左右されます。

現状、2020年に東京オリンピックが控えていることもあり、日本のホテルに対する買い需要は非常に高まっています。景気回復に対する期待感の高まりもあり、外資系ファンドが日本のホテルを買い漁っています。したがって、新規で物件を組み入れてポートフォリオを改善させるという成長戦略が取りにくい状況になっている点には、注意した方が良いでしょう。足元を見ると、ホテル特化型REITが保有している物件は、外国人宿泊者が少ないので、東京オリンピックに向けて、どれだけ外国人観光客を呼び寄せられるかという点も、問われてきます。

また、ホテル特化型REITに投資する際の注意点としては、分配金を左右する変数が多いことが挙げられます。景気の良し悪しや天候によって客足は大きく変わりますし、宿泊費も不安定です。オンシーズンの時は宿泊費が高騰しますが、逆にオフシーズンになると、宿泊費は大幅にディスカウントされます。これが、分配金に大きく影響します。下手をすれば、分配金が半額になったり、最悪の場合はゼロになったりすることも想定しておく必要があるでしょう。このように分配金の不安定要素が多いことを考えると、ホテル特化型REITは基本的にキャピタルゲイン狙いで投資するものと言えます。

確かに、ホテル特化型REITの株価は、順調に値上がりしています。ジャパン・ホテル・リート投資法人の場合、5月は4万5,000円前後だったのが、直近高値は5万3,000円前後まで値上がりしました。星野リゾート・リート投資法人の株価も同様で、特に6月に入ってから株価は急騰しています。

ただ、その買い手は誰なのかということですが、オフィスビル特化型REITが地方銀行などの機関投資家メインであるのに対し、ホテル特化型REITの場合、個人投資家や海外投資家等リスク許容度の高い投資家層が考えられます。地方銀行等の国内金融機関は、分配金利回りの変動が激しいということから、保有割合が高くはありません。

国内金融機関の分厚い買いに期待できない以上、ホテル特化型REITの株価は個人投資家等の投資マインドに大きく左右されます。投資主体が限られるということは、それだけ投資行動も一方通行になりがちです。つまり、売られるとなったら、大きく売り込まれるリスクがあることにも、留意しておく必要があるでしょう。

 

 

掲載日:2014年7月23日

鳥井裕史(とりい ひろし)氏プロフィール
SMBC日興証券株式会社株式調査部シニアアナリスト
大和総研及び大和証券SMBC(現・大和証券)において
年金運用コンサルティング業務の一環として不動産投資分析業務に従事した後、
2006年よりREIT専門のアナリスト業務に従事。
2010年10月より現職。
InstitutionalInvestor誌「All-JapanResearchTeam」REIT部門で2012年、
2013年ともに1位を獲得。
(社)日本証券アナリスト協会検定会員、(社)不動産証券化協会認定マスター

 

 

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