第1回

インフラリート入門

1.はじめに

本サイトではREITに関する様々な情報を発信していますが、皆さんはREITとよく似た仕組みをもつ「インフラファンド」という上場商品・上場市場の名前を聞いたことがありますか?REITは、「不動産」に投資し、そこから得た収益を投資家に還元する仕組みですが、同様の仕組みで「インフラ資産」に投資するのがインフラファンドです。

このインフラファンドが上場するインフラファンド市場は、公的インフラの整備や運営について民間資金やそのノウハウの一層の活用が求められていること、経済動向などの影響を受けにくい安定的な資産であるインフラに対する投資ニーズが高まっていること、さらには、諸外国においては、多様なインフラを投資対象とする上場市場が整備されつつあるといった背景から、2015年4月に創設されました。

インフラファンドも、上場株式やREITと同様、証券会社に売買の注文ができますし、毎年、一定の投資枠内での配当や譲渡益が非課税となるNISAやジュニアNISAの対象商品でもあります。インフラファンドとは一体どのような上場商品なのか、「インフラファンド特集」と題しまして今後、数回に渡って紹介していきたいと思います。

2.ヘルスケアリートとは

(1)インフラファンドの投資対象となる「インフラ資産」について 

インフラファンドが投資対象とするインフラ資産には一体どのような種類のものがあるのでしょうか?インフラは、一般的には、国民生活や経済活動が機能するために必要な社会資本・社会基盤といわれていますが、明確な定義は存在していません。そこで、東証の上場制度では、諸外国の上場制度も踏まえた上で、太陽光発電設備をはじめとする再生可能エネルギー発電設備(再エネ発電設備)や空港、それに鉄道や道路といった幅広い資産をインフラ資産として定義付けています。さらに、最近大きな注目を浴びている公共施設等運営権(注)についてもインフラ資産の対象範囲に含まれます。ただし、これらに該当する資産が全て上場制度上のインフラ資産として取り扱われるわけではなく、投資家への安定した収益分配を実現するため、新規に建設する資産ではなく、すでに完成・稼働し継続安定的な収益が見込めるもの(原則、稼働後1年以上が経過し、安定的な収益創出が行われているもの)が対象となります。

(注)公共施設等運営権(コンセッション)とは、利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したまま施設の運営権を民間事業者に設定する方式です。公的主体が所有する公共施設等について、民間事業者による安定的で自由度の高い運営を可能とすることにより、利用者ニーズを反映した質の高いサービスを提供することが期待されています。

●【図表1】上場制度上のインフラ資産一覧

●対象となるインフラ紹介図

(2)「インフラ資産」の特徴について

これらインフラ資産の大きな特徴として、いわゆる「オペレーショナルアセット」であるという点が挙げられます。例えば、オフィスビルを保有するREITの場合、そのREITはそのビルを誰かに賃貸することで賃料という形で収益を得ることができますが、インフラ資産を保有するインフラファンドの場合は、インフラ資産が適切に稼働されなければ、安定的な収益を得ることができません。

その他の特徴として、インフラ資産は一般的に景気変動の影響を受けにくい資産であること、長期安定した収益を得ることが可能な資産であることが挙げられます。特に、代表的なインフラ資産である再エネ発電設備は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で買い取ることを義務付けた「固定価格買取制度」(FIT制度)の対象ですので、経済産業省から固定価格買取制度(FIT制度)適用の認定を受ければ、決められた買取期間は決められた価格で電力を買い取ってもらえることになり、より確実に長期安定的な収益が見込めます。

●【図表2】固定価格買取制度(FIT制度)の概要

●【図表2】固定価格買取制度(FIT制度)の概要1

●【図表2】固定価格買取制度(FIT制度)の概要2


インフラ資産には上記のようなメリットがありますが、一方で、固定価格買取制度(FIT制度)のほかにも、税制や、インフラ資産のそれぞれの種類毎に守らなければならない法令などもありますので、インフラファンドへの投資に当たっては、東証の上場制度はもちろん、これら様々な制度についても理解を深めていくことが大変重要です。

(3)インフラファンドの仕組みについて

次に、インフラファンドの基本的な仕組みを紹介します。

冒頭で紹介したとおり、インフラファンド(注)にはREITと類似した部分が多くあります。再エネ発電設備を直接保有するインフラファンドについて、その基本的な仕組みを簡略化したものが下記の図表3です。投資証券や投資法人債の発行、金融機関からの借入などにより調達した資金をもとに、インフラ資産に対して投資を行い、そのインフラ資産から生じる収益を投資家に分配するというのが基本的な仕組みになります。

インフラファンドはREITと同様に投資法人であるインフラファンドから業務委託された「資産運用会社」が具体的にどのような資産を取得するのか決定し、インフラファンドがその資産を保有しますが、インフラファンドについては、もう一者、重要な役割を果たすプレイヤーがいます。先述のとおり、運用対象とするインフラ資産が安定的な収益を生むためには、専門的なノウハウを持った者により、きちんと運営されなければなりませんので、投資対象とするインフラ資産を誰がどのようにして運営するのかという観点が大変重要です。そこで、インフラファンド市場の上場制度では、インフラ資産を運営する者を「オペレーター」と位置付け、上場要件の一つとして、オペレーターがインフラ資産をきちんと運営することのできる能力を有する者であることを求めるほか、オペレーターに関する重要な事実についての情報開示を義務付けるなど、REITとは異なる仕組みが追加的に取り入れられています。

また、インフラファンドが高い分配金利回りを達成できる理由の一つとして、REITと同様、配当可能利益の90%超を投資主に分配することなどを条件として実質的に法人税が免除される仕組みがあります。再エネ発電設備を投資対象とするインフラファンドの場合、その恩典を受けるための要件の一つとして、REITと同様に再エネ発電設備を第三者に賃貸する必要があります。そのため、資産運用会社が取得を決定したインフラ資産をインフラファンドが保有し、インフラファンドから、資産を運営するオペレーターに賃貸するというのが典型的な仕組みとなります。インフラファンドが得る収益は直接的には賃料ということになりますが、その元を辿ればオペレーターがインフラ資産を運営することによって得る売電収益ということになります。

(注)インフラファンドの上場形態は他にもありますが、既上場の3銘柄を念頭に、投資法人型を想定した記載としています。REITは不動産を直接保有する形態のみが認められていますが、インフラファンドはインフラ資産を保有する会社の株式などへの投資による間接保有の形態も可能となっています。

●【図表3】インフラファンドのスキーム図

●対象となるインフラ紹介図

 

3.既上場3銘柄の概要

続いて、東証に上場しているインフラファンドの概要を簡単に紹介します。

2016年6月に、インフラファンド上場第一号となる「タカラレーベン・インフラ投資法人」が上場し、同年12月に「いちごグリーンインフラ投資法人」、さらに2017年3月に「日本再生可能エネルギーインフラ投資法人」が上場し、2017年5月31日現在、上場数は3銘柄となっています。

これら3銘柄はいずれも太陽光発電設備を運用対象としているなど共通点もありますが、運用戦略や分配方針などは各銘柄でそれぞれ異なった部分もありますので、今後、本特集において、それぞれの特徴やアピールポイントなどについて、深堀りして紹介していきたいと思います。

●【図表4】上場銘柄の概要

銘柄名 タカラレーベン・
インフラ投資法人
いちごグリーンインフラ
投資法人
日本再生可能エネルギー
インフラ投資法人
証券コード 9281 9282 9283
上場日 2016年6月2日 2016年12月1日 2017年3月29日
資産運用会社 タカラアセット
マネジメント
いちご投資顧問 アールジェイ・
インベストメント
スポンサー 株式会社タカラレーベン いちご株式会社 リニューアブル・ジャパン株式会社
投資方針 太陽光:90%以上
その他再エネ:10%以下
再生可能エネルギー特化型
(当初は太陽光中心)
太陽光:90%以上
その他再エネ:10%以下
上場時資産規模 10物件、78.7億円
(パネル出力:約18MW)
13物件、100.2億円
(パネル出力:25MW)
8物件、82.6億円
(パネル出力:21MW)
投資口価格

(※1)

96,800円 94,200円 81,200円
分配金利回り

(※1)(※2)

6.24% 7.04% 7.56%

(※1)2017年5月31日時点
(※2)年間予想分配金利回りとは、投資額に対する分配金の割合。算出方法=年間予想分配金÷投資口価格 
(出典:各社公表資料より東証作成)

 

4.おわりに

今回はインフラファンドの基本的な仕組みについてご紹介しました。次回は既上場の3銘柄が投資対象とする再エネ発電設備の収益を支える制度である「固定価格買取制度(FIT制度)」に関する情報を掲載する予定ですので、どうぞご期待ください!

※本特集では、インフラファンド等に関する情報を平易・簡略化して記載しています。インフラファンドの制度や上場銘柄についてより詳しく知りたいという方は、是非東証のホームページをご覧ください。

 

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