物流リート特集・第1回

物流リートとは?いま熱い注目を浴びる物流の世界を紹介します!

1.はじめに

突然ですが、皆さんは「物流施設」と聞いて、どのような施設をイメージするでしょうか。

実は、物流施設は我々の生活に密接な関わりを持っています。例えば、今や誰でも手軽に利用できるインターネット通販ですが、注文したその日のうちに商品が自宅に配送され、その到着の早さに驚いたという経験はありませんか。これには、物流施設の発展も大きく寄与しているといえます。すなわち、近年の電子商取引(EC)(注1)市場や、サード・パーティー・ロジスティクス(3PL)(注2)事業の拡大等により、今や、物流施設は、単に物を保管するだけではなく、物の梱包や流通加工といった先進的な機能(注3)を有するまでに発展を遂げており、これが配送の効率性向上に繋がっているのです。物流施設の建築数はリーマンショック等の影響もあり一時落ち込みましたが、足許は増加傾向にあり、施設の大型化や多機能化が進んでいます。

(注1)ECとは、インターネット等のネットワークを利用して契約や決済を行う取引形態のことをいいます。楽天市場やAmazon等のネットショッピングの利用もECに当たります。
(注2)3PLとは、荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行することをいいます。
(注3)このような機能を有する施設は「先進的物流施設」とも呼ばれています。先進的物流施設について法令等において明確な定義があるわけではありませんが、一般的には、延床面積10,000㎡以上の大規模な施設で、施設内での流通加工が可能となる空間(天井高5.5㎡以上、床荷重1.5t/㎡以上等)を確保していることが一つの条件となっているようです。また、施設内で働く従業員の快適性を重視した仕様(食堂、コンビニの設置や休憩スペースの充実等)となっていたり、免震性能又は高い耐震性能により安全性を確保している点も特徴です。

参考1 EC市場の状況グラフ

参考2 3PL事業の売上高

参考3 倉庫の建築数と1棟当たり床面積の推移 

参考4 先進的物流施設のイメージ図

2.物流施設の特徴

物流施設をオフィスや住宅と比較すると、開発期間が短く開発費も安価な場合が多く、管理業務に手間がかからないことから維持管理費についても小さくすむ傾向にあります。そもそも物流施設の場合、テナントが1社の場合には、業界慣習としてテナント側が維持管理費を負担するため、オフィスや住宅と比べると施設の規模に対する費用負担は相対的に小さくなるという事情もあります。

また、物流施設は、交通利便性が高い高速道路の近傍等の郊外に所在することが多く、土地価格と比べて建物価格の比率が高くなる傾向があるほか、償却年数も他の用途と比べて短いため、減価償却費が相対的に大きいことも特徴です。建物は経年に伴いその価値が減少していきますので、価値の減少分について、耐用年数(資産の用途毎に法律で定められた使用可能期間)に応じて、毎年費用として計上すること(減価償却)ができます。この費用を減価償却費といいますが、これは現金支出を伴わない費用であるため、減価償却費相当額の資金が資産保有者の手元に残ることになります。同じ鉄骨鉄筋コンクリート造の場合の耐用年数は、オフィスが50年、住宅が47年となっていますが、物流施設は38年と短い期間となっているため、1年当たりの減価償却費が大きくなるというわけです。一般的に減価償却費の使途は修繕費に充当されることが多いのですが、物流施設の場合、修繕費用が比較的少額ですむという特徴がありますので減価償却費をどのように活用するかについての自由度が高い資産ともいえるでしょう。

参考5 減価償却のイメージ図

その他、物流施設の特徴としては、オフィスや住宅と比べるとそもそもテナントの数が少ないことや、テナントの個別ニーズに沿った仕様となっていることも多いため、相対的に代替テナントが限定的な点が挙げられます。当然ではありますが、テナントが退去した場合、新たなテナントが見つかるまでの間は、その物流施設からは賃料収入は発生しませんので、この点は、物流施設の保有者にとって大きな問題となるのです。 そのため、近年では、後継テナントのニーズへの対応も可能な汎用性の高い施設の供給が増加している他、テナントの希望どおりに計画された施設の場合には、長期の賃貸借契約を結ぶケースや中途解約を不可とするケースが多くなっています。結果として、物流施設は、長期的に安定した賃料収入を得ることが可能な資産といわれることもあります。

3.東証上場の物流リートについて

2016年8月5日現在、東証リート市場には56銘柄が上場しています。投資対象とする資産の用途はリートによって様々ですが、その中には、物流施設をメインに投資するリート(以下、「物流リート」といいます。)(注1)も上場しています。これら物流リートでは、先進的物流施設への投資も積極的に行っています。

上記で紹介したとおり、物流施設は、減価償却費が大きい反面、修繕費用は小さいという特性がありますので、物流リートでは、他のリートと比べると手元資金が多くなることから、この手元資金の活用策の一つとして、利益を超えた金銭の分配(以下、「利益超過分配」といいます。)(注2)を実施しやすくなっています。既上場の物流リートは、過去、いずれも利益超過分配を行った実績(注3)があります。なお、利益超過分配金については、投資家側で税務上の手続きが必要となるケースがある等、通常の利益を原資とする分配金とは税務処理が異なることもあり、リートのホームページ等では、投資家が両者を混同しないよう、それぞれの金額に分けて公表されています。また、物流リートにより、利益超過分配を実施する理由についても丁寧な説明も行われていますので、物流リートに投資される際にはご留意ください。

(注1)東証上場リートには、物流施設を保有する銘柄が数多く存在しますが、本稿では、取得価額ベースで保有資産の90%以上を物流施設が占めているリートを指すものとします。
(注2)保有する不動産から得る賃料から費用を差し引いた残りの利益部分を投資家に分配するというのがリートの基本的な仕組みですが、利益以外を原資とする分配も可能となっています。
(注3)2016年に上場して、上場後最初の分配を行っていないラサールロジポート、三井不動産ロジスティクスパークを除きます。

【参考6】東証上場の物流リート(2016年8月8日現在)

  日本ロジスティクスファンド GLP 日本プロロジスリート ラサールロジポート 三井不動産
ロジスティクスパーク
銘柄コード 8967 3281 3283 3466 3471
上場日 2005年5月9日 2012年12月21日 2013年2月14日 2016年2月17日 2016年8月2日
決算期 1月/7月 2月/8月 5月/11月 2月/8月 1月/7月
投資口価格 234,800円 122,000円 250,500円 106,800円 286,300円
時価総額 206,624百万円 316,442百万円 461408百万円 117,480百万円 61,268百万円
今期予想分配金
(うち利益超過分配金)
4,030円
(0円)
2,307円
(298円)
4,156円
(514円)
2,150円
(182円)
4,794円
(488円)
年間予想分配金
利回り(※1)
3.43% 3.78% 3.30% 4.41% 3.43%
主なスポンサー(※2) 三井物産アセットマネジメント・ホールディングス、三井住友信託銀行、ケネディクス グローバル・ロジスティック・プロパティーズ プロロジス ラサール不動産投資顧問 三井不動産
資産規模(※3) 42物件
約2,126億円
58物件
約3,846億円
33物件
約4,472億円
8物件
約1,614億円
9物件
755億円(※5)
物流施設の比率
(※3)(※4)
98.1% 100.0% 100.0% 100.0% 97.1%(※5)

(※1)年間予想分配金利回りとは、投資額に対する分配金の割合。
算出方法=(当期予想分配金+次期予想分配金)÷投資口価格
なお、ラサールロジポート及び三井不動産ロジスティクスパークは上場日との関係で決算期間が変則的となるため、実質的な運用日数で換算し、最初に物件を取得した日を起算日としています。
(※2)資産運用会社の株主のうち、出資比率5%以上の者
(※3)取得価格ベース、
(※4)保有資産全体に占める物流施設の比率
(※5)有価証券届出書に記載された取得予定資産の数値

(出典)Bloomberg、JAPAN-REIT.COM、各社開示資料より東証作成

 

4.おわりに

物流の世界には、一般にはあまり馴染みのない専門用語も多く、一見とっつきにくそうな感じを受ける方もいらっしゃると思いますが、物流施設は私たちの生活に密接に関係する施設であり、物流業界は今後より一層の発展が期待される業界でもあります。本稿を通じ、少しでも物流リートに興味をもっていただけると幸いです。

物流リート特集

 

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