イベント記事

■Event Report

「個人投資家のためのJリートフェア2016」
説明会①
物流リートの特徴とラサールグループの強み

ラサールロジポート投資法人 執行役員
ラサールREITアドバイザーズ 代表取締役社長
藤原 寿光氏

 

物流リートの魅力は①成長性②安定性③コア投資対象


ラサールロジポート投資法人 執行役員
ラサールREITアドバイザーズ 代表取締役社長
藤原 寿光氏

私たちラサールロジポート投資法人は物流施設特化型リートで、今年(2016年)2月に上場した若いリートです。物流施設のなかでも物流適地にある大規模・高機能な物流施設に投資しています。Jリートでは新参者ですが、日本の物流施設の開発分野においては、2000年代初頭から手がけており、この分野では日本におけるパイオニアであると自負しております。

投資対象としての物流施設には、大きく3つの魅力があると考えています。1点めが成長性です。現代の消費経済のインフラとして重要な役割を担っており、そのニーズの受け皿として物流施設の大型化・高機能化がここ数年進展しています。2点めが安定性。物流施設は景気サイクルを通じて需要に変動が少なく、賃料相場が安定している特徴があります。3点めは、食事に例えて「主食」のひとつとしての存在です。海外では、オフィスと商業、住宅、物流施設という4つのセクターがリートの投資対象として古くから定着しており、この4つを俗に「4大栄養素」といいます。日本で物流施設が投資対象として認知されたのはここ数年ですが、だんだんと定着が進んできたと思っています。

 

大量保存の倉庫から消費物流に対応した先進施設へ

私たちがターゲットにしているのは消費です。いわゆる商業施設ではなく、商品が手元に届けられるまでの、いわば消費物流をターゲットにしているということです。日常消費財メーカーからネット販売業者、物流業者など、幅広い業種で物流施設に対するニーズは高まっていると考えています。しかし、そのニーズの受け皿となると先進的物流施設が不足しているのが現状です。先進的物流施設の供給量(比率)は米国では約20%ですが、日本ではまだ2.8%で、この市場は成長性が高いと考えています。

では、その先進的物流施設は従来の「倉庫」と何が違うのでしょうか。端的にいえば、物流施設に求められるニーズや役割が違うということです。従来の倉庫は、大量のモノを長期に保管するといった役割が主でした。今日の物流施設はモノの流れをさばいていく通過型の役割が重視されています。例えば、情報システムを駆使して在庫の適正化を図るサプライチェーンの高効率化や、今まで小売店舗のバックヤードでやっていた検品や値札・タグ付け作業を物流施設で行う「流通加工」への対応が求められます。

投資対象としての物流施設には、安定した賃料という魅力があります。たとえば、オフィス(首都圏Aクラス)の場合、平成20年(2008年)の賃料が坪44,000円くらいだったのが平成22年(2010年)には坪20,000円と、2年で半減する激しい値動きになっています。足元では坪35,000円くらいまで上昇しているでしょう。一方の物流施設は平成17年(2005年)から今年(2016年)まで、おおよそ坪4,500円あたりで安定的に推移しています。

 

グループの総合力で「プライム・ロジスティクス」を実現

このところ物流リートも銘柄が増えつつありますが、私たちラサールロジポート投資法人には大きく3つの特徴があります。1点めは東京エリア・大阪エリアという2大消費点を重視していることです。なかでも私たちが「プライム・ロジスティクス」と呼ぶ、物流適地にある大規模かつ高機能な物件に重点的に投資しています。2点めが、ラサールグループが培ってきた物流運輸のノウハウをフル活用した今後の成長戦略。3点めが強固な財務体質です。

1点めのプライム・ロジスティクスの要素は、①物流適地②大規模③高機能の3つです。たとえば、物流適地の条件は、消費地・交通アクセスに優れている、24時間運営可能な工業用立地、雇用確保の点から公共交通期間から徒歩圏内などが挙げられます。

2点めについて、ラサールグループは不動産専門の資産運用会社として世界有数の規模を誇り、世界各国の投資家から約6兆円の資産を預かっています。物流だけではなくオフィスや住宅、商業、ホテルにも投資しており、日本では「ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)」という投資信託も運用しています。とくに、物流セクターのなかで大規模高機能物件の開発はナンバーワンの実績があります。

3点めの強固な財務体質について、ラサールロジポート投資法人の借入金の総資産における割合(LTV)は約34%で、Jリートのなかではかなり低い水準にあります。メガバンクを中心とした大手銀行に支えていただき、借入金の平均返済年限は約6年と業界でも最長の部類にあり、格付けはAA-となっています。


最後に業績予想です。2017年2月期(第2期)の1口当たり分配金は2,545円と予想しています。2017年8月期(第3期)は同じく2,202円。これだけ見ると下がっているように感じますが、これは単に上場と物件取得にともなう一時的な要因で第2期の数字が膨れ上がっているためで、第3期の数字がいわゆる巡航ベースの数字になります。半年に2,202円ですので年換算で4,404円、昨日(2016年11月25日)の終値が106,100円ですから、利回りにすると4.15%前後という予測が立ちます。

 


 

説明会②
温泉・温浴施設リート設立の背景と今後の戦略

大江戸温泉リート投資法人 執行役員
大江戸温泉アセットマネジメント 代表取締役社長
今西 文則氏

 

温泉に対する需要は衰えておらず安定している

私たち大江戸温泉リートは今年(2016年)8月に上場した、とても若いリートです。本日はまず、私たちがなぜ温泉・温浴施設を投資対象にしたリートを立ち上げたのか、その背景を紹介させていただきます。


大江戸温泉リート投資法人 執行役員
大江戸温泉アセットマネジメント 代表取締役社長
今西 文則氏

当リートは、温泉・温浴施設に特化した初めてのリートです。設立の背景として最初に挙げられるのは、日本人の余暇消費と進む高齢化です。現代日本において、日本人の内需、消費が伸びないことがマクロ的課題といわれています。いわゆる成熟消費社会というモノが売れないなかで、人びとが余暇をどう過ごし、どのようなサービスを受けたいのかと考えたときに、日本には伝統的な温泉があるではないかと思いました。ここで注目すべきは、日本人の温泉に対する需要はいささかも衰えてはおらず安定しているということです。

私たちのスポンサーである大江戸温泉物語は、東京・お台場の店舗が発祥でありフラッグシップ店ですが、主力業態では地方のかつて有名であった温泉旅館・ホテルを買収し、現代の消費者の方々に受け入れられる普及価格帯で気軽に利用できる施設に変えていくという再生事業に注力してきました。こうした経験を通して、私たちはリートの分配金の源泉となる賃料のベースとして、日本の温泉施設がふさわしいのではないかと考えたわけです。

 

外部成長のポテンシャルの高さ

 

上場したときの9物件がすべて宿泊施設だったので誤解があるかもしれませんが、私たちはホテルリートではなく、温泉・温浴施設リートを目指しています。今後はスポンサー物件も含めて、日帰り施設や都市部の温浴施設などに投資していく予定です。ホテルリートとは成長ストーリーが違うことを、まず理解していただきたいと思います。

 大江戸温泉グループのサポートは優先交渉権(パイプライン)を含めて、最大限に活用していきます。グループが運営する施設数はどんどん増やしていますが、市場には転換していかなくてはならない施設がたくさん残っており、新しい物件の話もたくさん来ています。温泉・温浴施設特化型というファンドは、私募系ファンドでもほとんどないため、まだまだよい条件で物件を買うことができます。当リートは外部成長のポテンシャルが高いといえます。もちろん内部成長も進めていきますが、外部成長を原資に安定分配を積み上げていく予定です。温泉・温浴施設リートとして一定のポジションを得られれば資産価値も上がっていくと思われるので、それを投資家の皆さまに還元することも目論んでいます。

 

保有物件の平均稼働率は年間通じて85.6%(上場時)

上場時の資産規模は300億円弱とまだまだ小さいですが、9物件の温泉ホテルが入っていて、すべてスポンサーの大江戸温泉物語グループと20年間の一括賃貸契約を結んでいます。上場時のLTVは44.7%でしたが、2017年春以降になると短期借り入れが一部返済されるため、40~41%くらいの水準で巡航に持っていきたいと考えています。

9物件の概要ですが、客室稼働率が非常に高いことに着目してください。1年間を通した平均稼働率は85.6%となっています。各物件はいずれも周辺の大都市圏からリピート可能な時間距離、具体的には2.0~2.5時間の場所にあります。人気の温泉地やリゾートエリアに立地し、都市部の分厚い消費マーケットを捕捉しています。

 

「大江戸モデル」は物件取得から4か月でリニューアルし稼働率80%へ

次に、「大江戸モデル」について紹介します。大江戸温泉グループのキャッチフレーズは「いつでも、気軽に、何度でも。」。私たちは大江戸温泉物語以外のオペレータからも将来施設を買っていきますが、基本理念としてこのキャッチフレーズを共有しています。

もっとも大きいボリュームゾーンの方々に普及価格で利用いただけるような施設を保有し、そこから上がる安定的な収益を享受したいからです。

大江戸モデルの特徴を簡単にいえば、高品質のサービスをお手ごろ価格でご提供すること。これを両立させるため、代理店に頼らず自社のホームページや電話で予約を取ったり、バイキングの料理や価格もきめ細かく設定したりしています。コストコントロールやスタッフのマルチタスク化のノウハウも蓄積されており、経営の厳しい旅館でも4か月あればリニューアルし、大江戸モデルを使って再オープン後の稼働率が8割以上になっています。

 

グループ保有物件だけで5年後には1,000億円規模に

私たちの成長ストーリーは外部成長が中心で、大江戸温泉物語グループの現在保有する全物件と将来取得予定の物件に対して優先交渉権を持っています。これだけで現在300億円弱の資産規模が2~3年のうちに700~800億円近く、5年後には1,000億円ほどに成長することが見込まれます。

「大江戸温泉は古い施設を再生しているから、メンテナンス費用がかかるのではないか。」という質問をよくいただきます。確かに古い物件が多いですが、ご指摘は少し違います。第一に、私たちリートが買ったのは施設の土地と建物、それに基本的な設備だけです。岩風呂の岩、ヒノキなどの温泉造作、遊園地の遊具などはすべてテナントが保有しています。第二に、賃貸借契約で日常の修繕費もすべてテナントが負担する形になっています。したがって、リートが負担するのは計画的におこなう建物の基幹設備の更新投資などに限られます。もちろんバリューアップ投資もおこないますが、リートはそれほどお金をかけずに投資ができます。

最後に収支予想です。第2期(2017年5月期)は初年度の税効果が適用されなくて費用が膨らんでいますが、第3期(2018年5月期)の2,300円半ば、これが私たちのキープすべき一口当たり分配金の巡航水準だと考えています。2,353円だとすると年率分配金利回りが6%近いということになります。私どもはこれをできるだけキープしつつ、今後新規取得や増資などがあった場合には、これを切り上げていくことを目指して運用していきたいと思っています。

 

<<<Jリートと直接対話できる場として活況だった 「個人投資家のためのJリートフェア2016」

 

取材・執筆:K-ZONE (掲載日:2016年12月22日)

 

 

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